裏方がいるから演劇は成立する

舞台を支えることって、演技するより楽しいかも。

第9回高校生裏方ワークショップレポート

 

1日目

ワークショップ1日目は、江東区総合区民センターのミニレクホール・会議室を借りて実施しました。2日目以降の舞台作りを円滑に進めるためにレクリエーションによる交流を図ることが、1日目の主なねらいです。
2014年は東京都外からの参加者も多数いたため、このワークショップに参加しなければ出会わなかったかもしれない貴重なメンバーが揃いました。当日編成するチームは、極力学校が異なるメンバーで構成します。異なる地域で同じ道を志している同世代の仲間たちと出会えたことに、参加者の高揚感は一気に高まります。

(1)振り返りシートの記入

1日目の冒頭では、本ワークショップに期待すること・自らの目標を言葉にまとめてもらいます。このシートは回収し、3日目の振り返り時に使用します。

(2)自己紹介とウォーミングアップ

ワークショップ冒頭では、ちょっと変わった自己紹介をします。
初対面の人たちの前で、自己紹介とはなかなかハードルが高そう…と思うかもしれません。
しかし、意外とこの自己紹介が毎年、盛り上がります。
自己紹介が終わったら、アイスブレイクのレクリエーションのお時間です。ここでは、講師・塚原望さんが、みなさんを指導してくださいます。
参加者全員の協調を促すミニゲームをいくつか行います。

(3)ストレッチ・筋トレ

自己紹介が終わったら、ストレッチと筋トレに入ります。
え? 裏方ワークショップなのにストレッチと筋トレ? と思ったそこのあなた! 裏方にも身体訓練は必要なのです。
ここでは、常日頃から役者としての道を極めている講師TEROさんが、みなさんを指導してくださいます。
2人1組になって、普段運動をしない人にとっては、ちょっときつい…苦しいかもしれませんが、終わってみると不思議と身体の調子がすっきり。
これがデトックスってやつかもしれません。

(4)各セクションで分科会(座学)

午後は各セクションでの分科会です。照明・音響・大道具・演技班に分かれます。

・照明
照明班の講師はアオキ・ハルオさん! まずは世の中にどのような照明が存在しているのか、ということを知るために、一つの例として舞台の映像を見てもらいました。

・音響
音響班の講師は赤木亮さん! 1日目から音響卓を使っての講義です。音響卓の配線から、ミキサーの取り扱い方について、実際に卓を使いながら学びます。ホワイトボードに板書しながらの講義は、なんだか学校の授業のようでもあり、でもその内容はより専門的。普段、聞き慣れない言葉に何だかわくわくしちゃいます。

・大道具
大道具班の講師は塚原望さん。2日目以降から、さっそく製作に入ります。1日目は実際の作業には入りませんが、どんな道具をつくっていくのかを考えるところからはじめます。道具をつくるためには、材料が必要。その材料となる材木の種類から丁寧に説明してくれます。目から鱗な情報が盛りだくさん!

・演技
演技班の講師はTEROさん。このワークショップの期間内で配役、動きを決め、台詞も覚えていきます。3日目の発表では台本を持っている役者は1人もいません。さっそく配役を決めて、読み合わせをします。役者班は1日目から、とにかく実践です。

(5)劇場実習

さぁ、いよいよ1日目のメイン。劇場実習です! 2014年はカメリアホールをお借りしました。
冒頭からいきなり、迫(せり)に乗ってもらい奈落まで降りてもらいました。
その後、各セクションに分かれて、実際に照明機材や音響卓を触っていきます。

2日目

2日目からは、会場を私立京華女子高校の講堂に移しての実施です。
1日目にすっかりうち解けて距離感を縮めたメンバー達。再会に心躍ります。さぁ、2日目以降からは時間がありません。ウォーミングアップを済ませたら、さっそく各セクションに分かれての実習です。

(1)ウォーミングアップ

講師・塚原望さんによるレクリエーションです。全てのレクリエーションにねらいがあり、説明があってから実施となります。毎年、ゲーム感覚でできる楽しいレクリエーションが飛び出します。

(2)各セクションに分かれての実習

・照明班
講堂の舞台に設置された照明機材をチェック。実際に、どのように光を当てていくことが可能なのか確認。照明のプランニングをしていきます。

・音響班
音響班講師・赤木さんが用意した音響卓とスピーカーの設置・配線から実習がスタートします。1日目に座学で習ったことを実践する場です。

・大道具班
大道具班は一週間かけてそれぞれが作ってきたプランを突き合わせ、実際に製作するものを決めていきます。プランが確定したら、早速、材木を寸法に合わせてカットしていきます!

・演技班
2014年の演技班は2つのチームに分かれました。それぞれのチームに分かれて早速、稽古に入ります。演技班には講師・TEROさん以外にも普段から劇団で役者をしているアシスタントの指導が入ります。台詞を覚えることはもちろんですが、発声法や動き方など、細かな演出アドバイスを施してくれます。
また、演技班では各参加者が自らの頭を使って「考える」ことに重きを置いています。受身の姿勢では役者は成り立ちません。どうすればより良くなるのか、自分の頭で、時には出会った仲間と意見を交わし、道を探していきます。

3日目

3日目も2日目に引き続き、会場は京華女子高校の講堂が会場です。
3日目ともなると、参加者の距離感も縮まって、今日が最終日とは信じられない惜しい気持ちになっているものです。しかし、そんな気持ちに浸っている暇もなく、早速のウォーミングアップ。各セクションに分かれての実習です。

(1)ウォーミングアップ

講師・塚原望さんによるレクリエーションです。2日目とは異なるレクリエーションを行いました。

(2)各セクションに分かれての実習

・照明班
舞台上の照明をプランに合わせて位置を変えて、実際に当たる光の調節をしていきます。舞台と調光室の距離が離れているため、照明卓を触りながら、きっかけと操作のタイミングをつかんでいきます。
午後にはテクニカル・リハーサル(音響・照明のタイミングを合わせる稽古。テクリハ。)に参加していきます。大道具が設置された舞台は、何もない状態の舞台とは光の当たり方が変わってきますから調節が必要なのです。限られた時間での作業力が求められます。

・音響班
3日目は公演本番の曲目を確定、その後はきっかけ練習を繰り返します。同じ音源でも、流し方を変えるだけで雰囲気が大分変わってくるものです。講師・赤木さんのアドバイスを受けながら、何度も繰り返し実習を続けていきます。
午後にはテクリハに参加していきます。ここではじめて本番の配役で音をながしていきます。台詞のスピードや間の取り方は役者によって異なりますから、ここでも細かな調整が必要になってくるのです。

・大道具班
3日目の大道具班は、如何に早く組み立てて、塗料を乾かすかが最大の課題となります。組み立てが遅れれば、塗料を塗る時間が遅れ、塗料を塗る時間が遅れれば、乾くのも遅れていきます。しかし、公演の時間は決まっていますから、しっかりとした時間管理が必要です。こんなときこそ、3日間で養ったチームワーク力の見せ所! 毎年、参加者の努力と講師陣の尽力により、3日目での本番に完成した大道具がお目見えしているわけです。

・演技班
3日目の演技班は、いよいよ大詰めです。台本を手から離して、テクリハまでの間はひたすら稽古を進めていきます。午後にはできあがった大道具が設置された舞台で、照明・音響班とテクリハに参加します。テクリハが終われば、すぐ本番!

(3)本番公演

いよいよ本番です。3日間で学んだことを実践の場で活かしていきましょう。客席には会場校の演劇部員の皆さんの姿も…。

(4)バラシ

公演が終わると即バラシの作業に入っていきます。
せっかく作った大道具だけど…と思いつつも、この解体作業も案外楽しいものです。講師陣にフォローしてもらいながら、参加者自らバラシ・片付けをしていきます。

(5)各セクションに分かれての反省会

片付けが終わったら、最後に各セクションに分かれての反省会を行います
。1日目に書いてもらった振り返りシートを使って、3日間のワークショップで考えたこと、学んだことを言葉にまとめていきましょう。

(6)まとめ

最後に全ての参加者・講師陣が集まって全体のまとめを行います。
ここで、1日目に行ったミニゲームをもう一度行い、参加者のチークワークが如何に成長したのかを測ります。